テレビを買い替えたら思い出したこと
From:佐々木仁志
近所の電気屋店内のカフェより、、
先日、急にテレビが映らなくなりました。
こういうの本当に困りますよね、、
なので急いで近くの電気屋さんに行って、新しいのを買ってきました。
ソニー製の32インチ液晶テレビで、お値段は5万円です。

もっと安いテレビもあったんですが、店頭で画質や音質をくらべて、ソニーが1番良いなと思ってソニーにしました。
そんなふうに電気屋さんでテレビを見ていたときに、ふと、昔あったハッピーな記憶を思い出したので、お話しさせてください。
これは僕が20代のころの話です。
だから2003年とか2004年とか、そのあたりです。
そのときの僕は街の電気屋さんで店員をしていました。

仕事の内容は店頭でお客さんと話し、テレビや洗濯機、冷蔵庫、エアコンなどの家電を売って、いつ持っていくのかを相談し、車で配送して設置までします。
その日も僕は店頭で「いらっしゃいませ~!」と言いながら掃除をしていました。
すると、1人の大学生らしき男性が、50インチのテレビの前に来ました。
その男性、体はかなり細くて、髪は長め。よれよれのTシャツとGパンで、足元はちょっと汚れた革靴という身なりです。
そしてずっと、何も言わず、その50インチのテレビを見ています。
実はこの大学生らしき男性、来たのは初めてじゃなくて、この日の少し前からほぼ毎日来ています。
そして50インチのテレビの前で20~30分くらいテレビを見て、帰ります。
ちなみに、その50インチのテレビは当時の家庭用としては1番大きいサイズで、お値段もびっくりでした。
なんと50万円です。
今なら50インチも10万円で買えちゃいます。当時は本当に高かったんです。
だから僕は、この男性はこの50インチのテレビが欲しいけど、さすがに高すぎて買えないから、せめて見るだけと思って見に来てるんだな、、と思っていました。
しかし!です。
そうして1年くらいたったころでしょうか。
びっくりすることが起きました。
あの男性はこの1年の間もちょくちょく来て、テレビを見て、なにも言わずに帰っていました。
ですがその日だけは違ったんです。
いつもどおりテレビの前にいたので、いつもどおり「いらっしゃいませ~」と声をかけたら、男性の方から「これ、ください」と言ってきたんです!
僕は一瞬なにを言われたのかわからず、そしてすぐに我にかえり、「は、はい、ではこちらのテーブルの方へ」と男性を案内しました。
そこで聞いた男性の話はこうです。
男性はやはり大学生だったが、実家が貧乏なので仕送りはもらっていない、逆にバイトしたお金をすこし実家に送っているということ。
ある日うちの電気屋の前を通ったら、すごく大きなテレビがあってびっくりしたということ。
そしてそのテレビを「どうしても欲しい」と思ったこと。
すでに学費と実家への仕送りで大変だったが、さらに節約をして、バイトも増やしたということ。
その間もテレビを見にきて「あと〇〇円、あと〇〇円、、」と自分を奮い立たせたということ。
やがて1年たってやっと50万円貯まったので、今日買いにきたということ。。
これを聞いて、僕は胸がとても熱くなりました。
僕も彼と同じく実家が貧乏で、大学生のころにバイト代で実家の家賃や光熱費を出していたのと、それでも欲しいものは貯金してどうにか買ったという経験があったからです。
そして50万円もの大金。貯めるのは本当に大変だったと思います。本当にがんばった。
僕はその50万円を代金として大事に預かりました。
そしてテレビを設置しにいく日を決めて、彼は帰りました。
そうして設置日当日。
彼が住むのは小さなアパートの2階で、階段も廊下もせまく、大きなテレビを運び入れて設置するのは正直とても大変でしたが、彼の気持ちに応えたいと精一杯ていねいに仕事を行い、無事に設置を終えました。
設置を終えたあと、彼が満面の笑顔でこうつぶやいたのが聞こえました。
「ついに来た、、」
それを聞いた僕も無性に嬉しくなり、彼に「おめでとうございます」と伝えたら、「ありがとうございます」と返してくれました。
このときの感動は、あれから20年以上たった今でも強く覚えています。

これからも、こういう気持ちを大事にして、仕事をしていきます。
あなたの気持ちに精一杯応えます。



