思いがけず病院の前でグッときた話
From:佐々木仁志
川越市内のオフィスより、、
先日、義母の通院に付き添いました。
定期的な検診で、もう何度も通っている病院です。
ただその日は、とにかく暑かった。
車の外に出るだけで、じっとりと汗がにじみます。
今日は、そんな暑い日に病院の前で見た出来事と、そこで私が思いがけずグッときたというお話しをしますね。
時間はその日のちょうど昼頃。
私は車を止めて、まず義母のカートを下ろし、ゆっくりと義母を支えて車から降ろし、カートを渡しました。
そのとき、ゴォッという音とともに、強い風が一瞬吹いて、病院前に停まっていた自転車が何台か、ガシャーンと倒れました。
思わずびくっとして顔を上げると、病院の前に年配の男性が立っていました。
駐車場の案内や自転車の整理をしている、病院のスタッフのようです。
男性はすぐに駆け寄り、倒れた自転車を起こそうとしました。
ちょうどそのとき、一人の女性が現れて言ったのです。
「なんで自転車を倒してるんですか?」
男性は驚いたように顔を上げ、「風が吹いて倒れたんですよ」と説明しました。
けれど、もう風は止んでいました。
女性はにらむような目で言いました。
「そんなの嘘でしょ。わざと倒したんじゃないの?」
そこから二人の間で、静かに言い争いが始まりました。
「いやいや、そんなことしませんよ」
「じゃあなんで倒れてるのよ?」
「本当に風だったんです。ほんの一瞬でしたけど」
「信じられない。嘘つかないで」
義母の動きがゆっくりだったので、私はそのやり取りをずっと聞いていました。
正直、女性の言葉はあまりにも一方的で、仕事をがんばっているこの男性にとっては、つらい時間だったと思います。
たしかに、女性も通院しているのだから、心や体に不安を抱えていたのかもしれません。
けれどそれにしても、目の前の人の気持ちを、あまりに考えていないように感じました。
やがて女性は自転車を自分で起こし、ぶつぶつ文句を言いながら立ち去っていきました。
男性はその背中を見つめて、何も言い返さず、しばらく黙っていました。
その姿に、私は胸がぎゅっとなりました。
そして、義母と私が病院の入り口に近づいたとき。
さっきの男性は、ふと顔を上げて、私たちに向かって笑顔で言いました。
「こんにちは。どうぞ、気をつけて」
まるで、さっきの女性のことなど、何事もなかったかのように。
その姿を見てグッときた私は、笑顔でこう答えました。
「こんにちは。今日は暑いですね。暑い中、おつかれさまです」
たったそれだけのやり取りなのに、男性の表情がほんの少しゆるんで、なんだかホッとしたように見えました。
もしかしたら、自分の味方がここにいたと感じてくれたのかもしれません。
誰かから一方的に責められたり、誤解されたり、理不尽な言葉をぶつけられることってありますよね。
それが毎日続いたら、心はボロボロになります。
あなたも、きっとそういう経験があるんじゃないでしょうか。
心ない言葉で深く傷ついたあとに、たったひと言のやさしい言葉が、涙が出るくらい沁みる。
今日の私は、あの男性にかけたひと言で、自分の心も少し救われた気がしました。
もし、あなたもいま、心が折れそうになっているのなら。
無理せずに、少し立ち止まってください。
そして、「障害年金」という制度があることも、知っておいてほしいんです。
うつ病で働けない方のために、国が用意した仕組みです。
少しでも、安心して休めるように。
詳しい話は、元気があるときで大丈夫です。
あなたが、あなたのやさしさを忘れずにいられるように。
今日も、おつかれさまです。
P.S.
義母の定期検診も無事に終了。
医者の先生から「もうすぐ90歳とは思えないくらいお元気ですね」と言ってもらいました。
嬉しい、ありがたいことですね。



