朝、一発で目覚める方法(合法ですがオススメしません)

From:山崎純平
草加のカフェより…

 

朝から、声が出ました。

しかも、なかなかの大声です。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

自分でもびっくりしました。

 

あなたは、朝起きた瞬間から元気ですか?

私は違います。

朝は基本、ぬぼーっとしています。

目は開いているけれど、心はまだ布団の中。

体だけが、なんとか現実世界にログインしている感じです。

その日もそうでした。

眠い。

寒い。

できれば、もう一度布団に戻りたい。

 

大人なので、泣きながら起きます。

いや、泣いてはいません。

でも心は泣いています。

私は洗面所で顔を洗い、ぼんやりしながら着替えを始めました。

ズボンを履いて、シャツを着て、最後に靴下です。

タンスから靴下を取り出しました。

片方は黒。

もう片方は紺。

 

あれ?

色が違う。

でも、遠くから見れば同じようなものです。

たぶん誰も見ていません。

もし見られても、

「これはファッションです」

と言い張ればいい。

いや、言い張るほどの勇気はありません。

でも朝は時間がないのです。

私はそのまま、黒と紺の靴下を履きました。

 

ここまでは、ただのズボラな朝です。

問題はここからです。

しばらくすると、左足の中指あたりに違和感がありました。

ん?

何かある。

小石?

いや、家の中で小石はおかしい。

靴下の中に米粒でも入った?

それにしては、存在感が強い。

まるで足の中に、小さな管理人が住んでいて、

「ここ通りますよー」

と動いているような感じです。

 

私は、少しだけ嫌な予感がしました。

こういうときの嫌な予感って、だいたい当たります。

宝くじは当たらないのに、嫌な予感だけは当たる。

人生って不思議ですね。

 

恐る恐る、左足の靴下を脱ぎました。

そして、裏返しました。

その瞬間です。

ポトッ。

出てきました。

カメムシです。

カメムシ

カメムシ

カメムシ

あのカメムシです。

そうです。カメムシです。

 

緑っぽくて、刺激すると強烈なにおいを出す、あのカメムシです。

私は反射的に叫びました。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

朝の静かな部屋に、私の声が響きました。

 

妻が驚いて、

「どうしたの?」

と聞いてきました。

私は言いました。

「靴下に……カメムシが……」

もう、事件現場です。

 

私の中では、完全に刑事ドラマのワンシーンです。

床に転がる靴下。

その横にいるカメムシ。

立ち尽くす私。

驚く妻。

犯人は誰だ。

いや、犯人はカメムシです。

 

でも、なぜここに?

いつ入った?

なぜ私の靴下を選んだ?

他にも靴下はあったはずです。

なぜよりによって、今日の私の左足なのか。

カメムシに問い詰めたい気持ちでした。

「あなた、どういうつもりですか?」

 

でも、カメムシは答えません。

当たり前です。

私は急いでティッシュを取りました。

そっとつかみます。

ここで潰したら終わりです。

部屋がカメムシの香りに包まれます。

朝からカメムシアロマ。

そんな目覚め方は嫌です。

私は慎重に、慎重に、ティッシュで包みました。

まるで爆弾処理班です。

そしてベランダに出て、外に逃がしました。

 

ふぅ。

助かりました。

本当に不幸中の幸いです。

もし、私が勢いよく靴下を履いていたら。

もし、足の指でギュッとしていたら。

もし、カメムシが全力で防衛していたら。

朝のわが家は、終わっていました。

 

妻からも、

「ちょっと、何このにおい!」

と言われていたかもしれません。

 

私はきっと、

「違うんです。これは私ではありません」

と、必死に無実を主張していたでしょう。

 

でも、信じてもらえたかどうか。

かなり危ないところでした。

この出来事から、私は学びました。

朝の眠気を一瞬で飛ばす方法。

それは、靴下にカメムシを入れることです。

って、なるか!

絶対におすすめしません。

 

本当にやめてください。

ただ、目は覚めます。

それは間違いありません。

コーヒーより効きます。

目覚まし時計より強いです。

でも代償が大きすぎます。

 

その日から、私は靴下を履く前に、少しだけ中を見るようになりました。

ほんの一瞬です。

でも見ます。

 

人はこうして成長するのですね。

できれば、もっと別の形で成長したかったです。

本を読んで成長するとか。

誰かの言葉で気づくとか。

そういうきれいな成長がよかったです。

まさか、カメムシから学ぶとは思いませんでした。

人生、何が先生になるかわかりません。

 

あなたも、靴下を履くときは気をつけてください。

特に朝、眠いときです。

油断しています。

完全にスキだらけです。

そのスキを、カメムシは見逃しません。

いや、たぶん見逃すとかではなく、たまたま入っていただけです。

でも、こちらとしては大事件です。

 

今日の報告は以上です。

朝から、靴下の中にカメムシがいました。

そして私は、無事に目が覚めました。

 

PS:今でも靴下を履く瞬間、ちょっとだけ緊張します。

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