年金事務所から一本の電話、60件の申請が止まった朝のこと
From:宮里竹識
世田谷のスタバより、、
朝のカウンターで、泡がふわっと広がるカプチーノを受け取りました。
その瞬間、スマホが「ピロン」と鳴りました。
日本年金機構の障害年金審査チームの番号です。
嫌な予感がします。

その予感は的中しました。
「障害年金の電子申請、いったんストップしてください」
受話口の向こうの落ち着いた声。
店内のスピーカーから流れるジャズが急に遠くなりました。
テーブルの木目がやけに濃く見えます。
電子申請ストップの理由はこうでした。
障害年金の電子申請自体はネットで送れる。
でも、診断書は原本確認が必要。
PDFや画像ではダメ。
別途、原本を郵送で提出してください。
……それ、電子申請っていえるの?
正直、頭が真っ白になりました。
私たちはすでに60件以上、電子申請をしてすべて審査中という状況です。
担当者いわく、実際に障害年金の電子申請をしていたのは、社労士事務所の中でも全国障害年金パートナーズだけ。
うつ病のあなたが外に出なくて済むよう、私たちは一歩先に踏み出したつもりでした。
けれど、現実の壁はいつも想定外の形でやってきます。
パソコンやスマホで進捗バーが80%で止まったまま動かない、あの感じ。
私は、肩に力が入っていたのをふっと抜きました。
そして、その場で決めました。
紙に戻そう。
お客さんの不安と体力を守ることを、最優先にしよう。
ちょっと想像してみてください。
スマホのQRで入れるはずのライブ会場で、入口の係員に「紙の半券だけです」と言われたら?
もめるより、近くのコンビニで印刷しますよね。
高速道路が突然通行止めになったら、一般道で行きますよね。
電子申請から紙の申請に戻せば、時間は少し伸びる。
でも、目的地は変わりません。
その日、事務所では封筒の口をぺたっと閉じる音が続きました。
プリンターの温かい紙。
私は社内のメンバーにひとつだけ伝えました。
「スピードより確実さを。あなた(お客さま)の負担をゼロに」
夜。
帰宅すると、4歳と3歳の娘が「パパー!」と駆けてきました。
小さな手のぬくもり。

私はほっとして思いました。
あなたの生活も、こうした小さな安心でできている。
ならば、電子か紙かは障害年金の手段でしかありません。
守るべきは、あなたの「明日」なんです。
障害年金の制度というのは、人を守るためにあります。
もちろん不正を防ぐために原本確認が必要、という論理は理解できますよ。
でも、現場では“移動できない”、“人と話すのがつらい”という現実があるのです。
電子申請は近道を作るための道具にすぎません。
大切なのは、あなたが確実に障害年金にたどり着くこと。
だから私たちは紙での申請で、障害年金の段取りを最短に組み直しました。
病院への診断書依頼の準備、年金事務所とのやり取り、提出も修正も、すべて私たちがやります。
あなたは家で休んでください。
呼吸を整えてください。
それでいいのです。
以前このブログやメルマガなどでお伝えした「うつ病で障害年金を受け取るための7つのステップ」は、方法が電子でも紙でも変わりません。
順番を間違えなければ、迷子になりません。
日本年金機構からの電話を切ったあと、私はいったん店の外に出ました。
深呼吸を三回。
頭の中で作業の棚卸しをしました。
・電子で送ったデータの整理
・診断書の原本回収の段取り
・郵送方法の統一(レターパックか、簡易書留か)
・到着確認のフロー
一つひとつイメージしながら、事務所への道を歩いて行きます。
事務所に戻ると、スタッフが目をまん丸にしました。
「全部、紙ですか?」
「うん。理由はこうだよ」
私はホワイトボードに、太いマーカーで大きく書きました。
『あなたの外出ゼロ。手戻りゼロ。審査の不安ゼロ。』
電子申請には、夢がありました。
あなたが外に出なくていい。
年金事務所に行かなくても、オンラインで終わる。
審査が早く終わって、障害年金という経済的安心も早く受け取れる。
でも、診断書“だけ”は原本。
その“だけ”が、大きな壁になってしまう。
ここで誤解のないように言っておきます。
日本年金機構の担当者は丁寧でした。
現場を責める気はありません。
制度の継ぎ目がまだ固まっていないだけです。
私たちが先に走りすぎたのかもしれません。
だから、引き返します。
そして、また挑戦します。
あなたの今日を守るために、最善のルートを何度でも選び直します。
封筒は軽いけれど、そこに乗っているのはあなたの安心です。
ポストに落ちる「コトン」という音が、私は好きです。

届いた合図の配達記録を見て、胸に手を当てます。
大丈夫。ここから審査が始まる。
私の出番は、むしろここからです。
悔しさがゼロかと聞かれたら、正直あります。
挑戦したからこそ見えた景色がある。
でも、私が握りしめるのは“正しさ”より“やさしさ”です。
あなたの体調に合わせて、私たちの手を変える。
その判断を即断できることを、私は誇りに思います。
最後に、あなたへ。
電子でも紙でも、私たちのゴールは同じです。
「あなたが、安心して休めること」。
そのために、私たちは日本でただ一つの、うつ病による障害年金専門の社労士事務所をしているのです。
制度が右へ左へ揺れても、私たちはしなやかに段取りを変えます。
あなたの歩幅に合わせて、伴走します。
障害年金という経済的安心を受け取りたいのなら、まずは私たちに相談ください。
あなたからの連絡を待っています。
【追伸:私たちに依頼中の人へ】
現在審査中の障害年金について、差し戻しになったわけではありません。
審査自体は順調に行われています。
即時診断書の原本を審査側に送っていますので、審査中の案件にはなんの支障もないのでご安心ください。
うつ病で苦しむ人が、安心して休める社会をつくる_宮里竹識(みやざとたけし)



